保険代理店のための分かりやすいDX 5
大量のルーチンワークには最適
現状、一部の業務しか使えない
前回、DXに活用できるITツールの一例として、RPAを挙げました。今回はそんな保険代理店にとってのRPAについて分かりやすく解説したいと思います。
まず、RPA(Robotic Process Automation)とは、ロボットによるプロセス自動化のことを指します。RPAは、人間がコンピュータで行っているルーチンワークや定型的な業務を自動化する技術の一つです。特に、人間がパソコンを使って行う繰り返しの作業、ルールベースの作業、高い精度が求められる作業などをロボットが代わりに行うことで、効率化や誤りの削減を図ることができます。具体的には、RPAはソフトウェアロボットと呼ばれるプログラムを使い人間がコンピュータで行う一連の作業を自動化します。作業の自動化は、時間の節約、コスト削減、作業の精度向上に貢献します。
と、ここまではChatGPTに解説してもらったロボット的な説明として、要するに「24時間365日エラー無しでかつ猛スピードで仕事をこなしてくれるスーパー事務員さん」と解釈すればよいかと思います。ただし、超優秀ではあるものの、あくまでもルーチンワークや定型的な業務しか行えないので、まだまだごく一部の業務しか行えません。経費や人材の削減をしようとしても、完全にリアル事務員さんの代わりとまでは至らないのが現状です。ChatGPTなども同じですが、あくまでもロボットに任せられる(ロボットの強みとなる)仕事はロボットに任せて、人間は人間にしかできない(人間の強みを活かした)仕事に集中させる仕組みを作ることが極めて重要となります。
では一体、保険代理店の何の業務を自動化したらよいものか、そもそも何の基準に作業を自動化したらよいものかが、一般的にまず障壁となるのではないでしょうか。私独自の見解としては、「毎日、毎週、毎月、数十から数百単位で同じことを繰り返す作業がRPAに向いている」と考えています。そう考えると、RPAに毎月数万円以上のコストをかけてパフォーマンスを発揮してもらうためには、保険代理店でも一定以上の作業件数を抱える規模でなければ、わざわざRPAに頼らなくてもいいという判断になるでしょう。
よく見積書や申込書をRPAで作っているという活用事例を耳にしますが、顧客や契約毎に個別に補償内容をスタッフが考えているような保険代理店ではなく、一定の顧客や契約別に提案内容の仕組みを構築しているような保険代理店でなければ向いていないと思います。何かと保険業界で耳にすることも多くなってきましたが、全ての保険代理店にとって必要なツールではなさそうです。会社経営における全体像から計算し、導入可否を判断できなければ、システム投資としては失敗に終わってしまう可能性が高いでしょう。
ちなみに弊社の場合は、RPAの導入を見送りました。理由としては、そこまでルーチンワークが多くないという点と、システムのスケジュール管理を活用し、人の記憶に頼らない仕組みを構築すればコスパ的には充分という判断でした。
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第3285号(週刊) 新日本保険新聞[損保版]2023年8月28日