保険代理店のための分かりやすいDX 14
デジタル技術活用したサービス提供
代理店単位でも求められる取組み
ここ最近、DXの延長線上にCX(カスタマーエクスペリエンス)があると目や耳にする機会が多くなってきました。今回は保険業界におけるCXについて考察したいと思います。
DXとCXは、デジタル化が進む現代において密接な関係を持つ概念です。DXの説明は割愛させていただくとして、CXは顧客が企業との接点で感じる体験の質を総合的に向上させることを目指します。この2つが連動することで、顧客満足度の向上やブランディングが期待されます。
例えば、金融業界では、多くの銀行がモバイルバンキングアプリを導入することでCXを向上させています。これにより顧客はアプリを通じて、自宅や移動中でも銀行のサービスを受けられるようになりました。これはDXの一環としてデジタル化が進められ、それが直接的に顧客の利便性向上という形でCXの向上に繋がっています。
保険業界においても、DXを通じてCXを大幅に向上させる取組みが進んでいます。保険会社の事例にはなりますが、4つの事例を紹介します。
①保険金請求の自動化
伝統的に時間がかかっていた保険金請求プロセスをデジタル化することで、顧客は簡単にオンラインで請求を行えるようになりました。例えば、アメリカの某大手保険会社は、顧客がスマートフォンを使って事故の写真をアップロードし、その場で請求を開始できるシステムを導入。これにより、請求処理時間が大幅に短縮され、顧客満足度が向上しました。
②AIを活用したパーソナライズドサービス
人工知能(AI)を用いて顧客データを分析し、顧客一人ひとりに最適な保険プランを提案する取組みがあります。日本のある保険会社では、顧客の生活習慣や健康状態を基にカスタマイズされた保険プランを提案しており、これが顧客から高い評価を受けています。
③テレマティクスを利用した保険料の個別化
自動車保険において、車載デバイスやスマートフォンアプリを利用して運転行動を記録し、それに基づいて保険料を算出するペイ・ハウ・ユー・ドライブ(PHYD)保険が登場しています。安全に運転するほど保険料が割引されるため、顧客にとって公平感のある料金設定が可能となり、顧客満足度の向上に寄与しています。
④24時間365日対応のバーチャルアシスタント
チャットボットや仮想アシスタントの導入により、顧客はいつでも疑問や問題を解決できるようになりました。これらのデジタルツールは顧客からの問い合わせに即座に反応し、多くの場合、人間のカスタマーサービススタッフを必要としないほど高度な応答が可能です。
これらの事例からも見て取れるように、保険業界ではCXの向上を図るために様々なデジタル技術が導入されており、顧客にとってより迅速で、パーソナライズされた、かつ効率的なサービス提供が可能になっています。これらの技術は顧客体験を向上させると同時に、保険会社にとっても運営の効率化やコスト削減に寄与しています。
では、代理店の皆様はいかがでしょうか?
2016年の保険業法改正以降、「顧客本位の業務運営」が求められていますが、まさにDXとCXは時代のニーズに合致した政策かと思いますので、できる限り代理店(企業)単位で実行すべき事項かと思います。
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第3321号(週刊) 新日本保険新聞[損保版]2024年5月27日