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相次ぐ出向社員による情報漏洩

保険代理店のための分かりやすいDX 20

アクセスログを監視する仕組み導入を

最近、保険業界では生損保問わず出向社員による個人情報漏洩事故が相次いでおり、多くの保険会社が、ディーラー関連や銀行系、大手乗合代理店の名前を公表しています。

主な漏洩手段としては、保険会社のシステムにあるメール機能を使い、契約者情報を支社の社員に送信していた事例が報告されています。既に過去の事例ではありますが、同様の事故が今後も起こらないという保証はありません。したがって、これらの事例から何を学び、どのように活かしていくかが重要なポイントです。

まず、内部からの情報漏洩リスクに対する対応が急務となっています。「保険代理店にとって最も大切な資産は顧客情報」であり、情報漏洩は顧客との信頼関係を損ない、企業のブランド価値を大きく損ねる可能性があります。しかし、適切なデジタルトランスフォーメーション(DX)を導入することで、こうしたリスクを効果的に管理・抑制することが可能です。

個人情報漏洩の多くは人為的なミスや故意によるものであり、技術的な対策のみならず、従業員教育や管理体制の見直しも不可欠です。DXの一環として、システムを高度化し、適切なアクセス管理や監視システムを導入することが、情報漏洩リスクの軽減に寄与します。

次に、システム面での対策として、特定の情報へのアクセス権限を最小限に制限する「最小権限の原則」を適用することが有効です。これにより、出向社員や一時的なスタッフが不必要に多くの情報にアクセスするリスクを回避できます。

また、個人情報を暗号化し、アクセスログをリアルタイムで監視する仕組みを導入することで、万が一不正な操作が行われた場合でも速やかに対応できます。弊社開発のシステムは、各スタッフごとに機能の使用可否を設定することが可能です。このような設定を導入し、出向社員を含む全従業員に対して明確なルールを策定・実行することが不可欠です。

保険代理店においては依然として紙ベースの情報管理が根強く残っています。しかし、デジタル化により業務効率を向上させると同時に、情報漏洩のリスクも低減できるため、ペーパーレス化の推進が必要です。すべての情報をクラウド上で管理することで、アクセス制御を強化し、誰がいつ、どの情報にアクセスしたかを正確に把握できるようになり、不正な利用や漏洩があった場合の調査が迅速に行えます。

最後に、DXを成功させるためには、技術的対応のみならず、組織全体のセキュリティ意識の向上が欠かせません。定期的なセキュリティトレーニングや情報セキュリティに関するポリシーの徹底を行うことで、出向社員を含む全従業員が一貫したセキュリティ意識を持つ文化を育むことができます。

このように、DXを活用することで、保険代理店は個人情報漏洩のリスクを大幅に低減し、顧客の信頼を守ることができます。技術と組織の両面からアプローチすることで、リスク管理の強化が今後の保険業界における課題解決の鍵となるでしょう。

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第3345号(週刊) 新日本保険新聞[損保版]2024年11月25日

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