保険代理店のための分かりやすいDX 22
法人向け伸びるも個人が減少
AIによる損保マーケット予測
2025年およびそれ以降、保険業界はどのように変化していくのでしょうか。AIによる市場規模予測では、損害保険業界の国内市場規模は2029年9兆908億円に縮小される見込みと予測されています。このレポートには信憑性のある内容が多く含まれており、一部を抜粋してご紹介します。
現在、損害保険の国内市場規模は10兆1,982億円と推計されていますが、今後5年間で10.86%縮小し、9兆908億円に減少すると予測されています。市場成長率を内訳別に見ると、法人向け損害保険は+33.03%の成長が予測される一方で、個人向け損害保険はマイナス13.62%の縮小となっています。その結果、全体として10.86%のマイナス成長と予測されています。特に、時系列で見ると、4年後および5年後の減少幅が比較的大きことが特徴です。
また、今後5年間で損害保険市場に影響を与える要因は、8つのカテゴリーに分類されています。プラス要因としては「社会・その他」が挙げられ、具体的には地震保険需要の増加や能登半島地震の発生、富裕層人口の増加が影響するとされています。一方、マイナス要因としては「技術革新」が大きな影響を及ぼすと予測されており、レベル4自動運転の利用拡大やタイヤセンシング需要の増加、トラック隊列走行の実用化などが挙げられています。
このように、前半部分の市場規模や成長率については非常に具体的なデータが示されていますが、後半部分の要因分析についても「なるほど」と頷ける内容が多いのではないでしょうか。人口減少や収入格差の拡大を背景に、保険代理店が個人マーケットから法人マーケットへシフトする流れは、以前から指摘されてきました。2024年に保険業界で起こった出来事を振り返ると、この予測が代理店にとって何を考え、何を実行すべきかの大きなヒントになるでしょう。
さらに、昨年開催された「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」では、企業内代理店に関する規制強化が議論されました。保険会社としては急激な規制強化は難しいものの、兼業の小規模代理店から徐々に整理が進んでいるようです。例えば、業績不振や保険業法を遵守できない代理店は廃業を余儀なくされ、それらの代理店が保有していた顧客や契約は、真摯に努力を続けている優秀な代理店へ移管される傾向が見られます。
当然ながら、保険会社としては自社の顧客が他社へ流出するのを防ぎたいと考えています。そのため、自社の優秀な代理店に移管を任せるケースが多いかと思われます。しかし、移管される顧客や契約数が増加し、収保規模が数億円から数十億円に達すると、既存の業務や顧客対応に支障をきたす可能性が高まります。さらに、十分なDX体制が整っていなければ、顧客移管の対応が極めて困難になり、現場が混乱することも予測されます。
このような背景から、益々システムによる顧客管理の重要性が増しています。誰が対応しても均等な顧客サービスを実施できる体制を整えることが不可欠です。来るべきM&A時代に備え、DX体制や顧客管理システムについては、ぜひ弊社までご相談ください。
▼保険代理店のDXはエムアイシーへ
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第3353号(週刊) 新日本保険新聞[損保版]2025年1月27日