地域密着型経営のススメ
-人口減少対策は進めていますか?-
第10回目
5月には改正個人情報保護法が全面施行
机の上に個人情報記載の書類が・・・ 自発的に顧客や会社を守る決意必要
保険の仕事に携わるのなら、必ず押さえておかなければならない個人情報保護法。平成29年5月30日に改正個人情報保護法が全面施行となりますし、今一度改正内容を理解されてはと思います。
その前に、前回でも綴らせていただきましたが、保険の仕事以上に「お客様の数多くの情報(個人情報を含む)を把握し、信用度の高いビジネス」は無いかと私は考えます。
そんな信用度の高いビジネスとして、地域密着型経営を勧めていくなかで個人情報漏えい事故は絶対に起こしてはなりません。今や漏えい事故を起こすとネット上は疎か、地域中に一瞬にして広まる時代になっています。お客様を守っていく上で、会社を守っていく上で、しっかりと個人情報漏えい対策はしておきましょう。
さて、改めまして個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、氏名、生年月日、その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいっていました。
この部分が明確化され、例えば指紋認識データや顔認識データ等の身体的特徴、免許証番号やパスポート番号等の個人識別符号が含まれるようになります。損保の場合、自動車保険の募集に免許証番号を取扱うこともありますので、注意が必要です。
また、生命保険の募集に関わってくるところにおいては、要配慮個人情報としての病歴について本人同意を得ない取得を原則禁止となりますが、ここは優秀な皆様は改正保険業法の施行時点で既に対策済みかと思います。
もう1点大きな変更といえば、これまで取扱う個人情報が5,000人以下の小規模取扱事業者には適用できなかった規制が、今後は1件からでも適用されるようになりますし、利用目的をできる限り特定し、本人に通知または公表をしなければならなくなります。適用除外だった小規模事業者については、安全管理措置を講じる義務が発生してきます。
さらに、個人データを利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならないと改正されます。各保険会社の見解もあるかもしれませんが、過去何年分にも及ぶ申込書等の控やお客様から貰ったコピーやFAX等、改めて注意が必要です(努力義務)。
以上、保険業務に関係のありそうな部分のみをピックアップさせていただきました。保険代理店システムの導入や指導で、代理店事務所にお邪魔することがよくあるのですが、残念ながら未だにIDやパスワードを机やパソコンに貼られていたり、無人の机の上に個人情報記載の書類を置きっぱなしであることも珍しくありません。
取扱保険会社から言われて対策するのではなく、自発的にお客様や会社を守ることに力を注いでいかなければ、ある意味常に一寸先は闇の仕事かもしれません。弊社はプライバシーマークを認証取得しているのですが会社の整備にオススメですよ。
第2958号(週刊) 新日本保険新聞[生保版]2017年2月6日
過去のコラムは以下のとおりです。
第1回目 住んでいる町が消えてしまう・・・変化に適応した行動が急務
第2回目 地元ケーブルテレビにレギュラー出演 地域想う同世代の同志との出逢い
第3回目 縦や横のつながりの重要性増す SNSの積極活用で人間関係構築が容易に
第4回目 自社自身の人脈を地域に活かす「あの会社でなければ」と言われるために
第5回目 お客様の顔と名前どこまで覚えています 相手を想う挨拶 些細な会話が原点
第6回目 将来が心配な世帯増加 生保商品の必要性さらに高まる
第7回目 代理店の持つ人脈活用に期待 これまで以上のネットワーク構築が必要
第8回目 顧客情報を自社システムで一元管理 対応履歴こそが最大の財産 細かなやり取りを
第9回目 顧客情報の蓄積、データ化が命運握る 他業種との提携強化で収入源が変化
第10回目 5月には改正個人情報保護法が全面施行 机の上に個人情報記載の書類が・・・
第11回目 志を持つ地域の若手経営者とコラボ企画 新生活がスタートする今が好機
第12回目 地域情報サイトを運営 地域の人や事業者と共に成長する仕組作り
第13回目 人が来たくなるコンテンツは何か?
第14回目 他業種との積極的交流を 地域の中小企業経営者を獲得する
第15回目 保険でお客様の金銭的問題を解決する お金の大切さについて周知しよう
第16回目 顧客数増やす地道な努力 21世紀は分かち合う時代 『対面』の価値をいかに提供するか
第17回目 電子データの活用で広がる顧客からの感謝の幅 情報は代理店にとりかけがえのない「財産」 くれぐれも宝の持ち腐れにせぬように
第18回目 新たな収益源の確保を 自治体との“連携”をキーワードに
第19回目 保険とゴルフの相関関係 よろず屋でありコンサルタント 環境悪化しても必ず活路はある
第20回目 人こそが最大の商材 保険営業マンは頼られる「職人」
第21回目 代理店における採用活動を考える 自由度の高い保険ビジネスの魅力
第22回目 この十数年で業界、社会環境激変 今の業務フローに常に疑問持ち続け
第23回目 AIに取って代わられるのか? 保険の素晴らしさを再認識 保険の仕事は商品よりも人 人と人とが信頼しつながることで成り立つ
第24回目 近隣のハザードマップを用意していますか 顧客、知友人にもぜひともご案内を
第25回目 ビジネスに繋がる人間関係の構築を推奨 地域の団体やコミュニティに所属することは地域貢献
第26回目 さまざまな2018年問題 加速する子どもの減少 地域貢献としてセミナー、催しを積極開催
第27回目 自主的にコンプライアンス順守を徹底することが自らを守る 保険会社から親離れする時に 自ら考え行動することが急務
第28回目 強いチームは皆、同じ方向に向けて進んでいる 組織として機能し続けることが不可欠 強い組織には『イズム』がある
第29回目 災害救助法について把握しておこう 緊急時の顧客への対応体制を構築する 各地で相次ぐ大規模天災 代理店としてどう対応すべきか
第30回目 相次ぐ天災、保険の大切さを痛感 こんな時こそ代理店が「ヒーロー」に
第31回目 異常な天災相次ぐ1年 代理店にとっても多忙な年に 代理店自らの「万一」を考える必要も 組織化で本当の安心感を提供
第32回目 顧客が困ったときに思いだしてもらえるか 相談に乗れる存在になる 情報が保険販売に変わり収益に
第33回目 地方の目立つ自動車保険依存の収益構造 自動運転のニュースには敏感 生保代理店・損保代理店で情報交換の場を設定 代理店間で情報量に圧倒的な差
第34回目 「人」にかわり、「スマホ」や「仕組み」が保険契約を取る時代に 吸収する代理店、される代理店 お客様が喜ばれることは何なのか?
第35回目 「お客さまの声」、前向きに捉え 企業の成長、信頼を高める 苦情管理、適切に行われていますか PDCAサイクルを構築・確認する
最終回 各地で進む人口減少 あらゆる地域で加速化見せる 体制整備、未来への種まきは進んだか? 新たなリスク出現にビジネスチャンスも