地域密着型経営のススメ
-人口減少対策は進めていますか?-
第19回目
保険とゴルフの相関関係
よろず屋でありコンサルタント
環境悪化しても必ず活路はある
保険業界人はゴルフ好きの方が多い職種ではないでしょうか。我々と関係の深いゴルフ業界の現状と今後について、ゴルフ場を経営する社長様とお話する機会がありましたので、一部ご紹介させていただきます。
結論から言うと数年先が見えない。ゴルフ場市場はここ20年ほどで1兆円以上減少(ピーク時の半分以下に減少)していて、かつ、ゴルフ人口は3分の2以下となり、総人口の減少率よりも大きな減少率で、中核をなす団塊の世代などのシニアゴルファーの方々がリタイアしていくことが必至です。
そして今後の客層になり得る20~30代のゴルファーがあまりにも少ないそうです。よく接待ゴルフと言っていたものですが、「接待」自体が今の世間の若者に受け入れられてないことも理由にあるでしょうし、お金がかかるおじ様のスポーツというイメージが根強くあるのかもしれません。
このようにゴルフ業界は少子化や人口減少の影響を諸に受けており、保険業界以上に厳しい時代が到来する可能性があるようで、何とか若年層を取り込むためにとアイデアを欲されていました。
他業界のことを心配しつつも、保険業界もゴルフ業界までとはいきませんが市場的にはマイナス方向です。損保業界の主であった自動車保険では、若者の車離れ他、自動運転車の開発が急速に進んでいます。また、消費者が代理店や営業マンを介さずに契約するケースも増加傾向で、特異な付加価値を持ち、数字を稼ぐことができる売れる者・会社しか業界で生き残っていけないのかと危惧されています。
ですが、地域密着型経営を進める保険代理店の活路はまだまだあると考えています。保険屋はよろず屋であるとよく言われるように、保険以外の内容でも、誰かから質問・相談されることは強みではないでしょうか。私の場合でしたら地域ポータルサイトを運営しておりますので、新店舗情報や美味しいお店を教えて欲しい、お店やイベントの宣伝をして欲しい、あの人・あの会社を紹介して欲しい・繋いで欲しいなど、地域絡みのことでよく話を聴くことがあります。私はたまたまこのような業態ですが、地域で顔が利く方が多いのが保険業であり、信用や信頼度が高い業種が保険業かと思います。
相手のリスクや将来について親身になって考え、喜んでいただく仕事。よろず屋でもあるし、コンサルタントでもあります。人と人との繋がりを大切にしていることで様々なことを実現できる状態を創っておくことができる自由度の高い職種です。人々に必要とされ続けるポジションを確立できれば、例え手数料率が下がったとしても、直販が増えたとしても、自ずと活路が開けることでしょう。手前味噌ではありますが、ニーズをデータ化するうえでも未来に必要な情報を顧客管理システムで整備していくことは非常に大切となってくると確信しています。
第2995号(週刊) 新日本保険新聞[生保版]2017年11月13日
過去のコラムは以下のとおりです。
第1回目 住んでいる町が消えてしまう・・・変化に適応した行動が急務
第2回目 地元ケーブルテレビにレギュラー出演 地域想う同世代の同志との出逢い
第3回目 縦や横のつながりの重要性増す SNSの積極活用で人間関係構築が容易に
第4回目 自社自身の人脈を地域に活かす「あの会社でなければ」と言われるために
第5回目 お客様の顔と名前どこまで覚えています 相手を想う挨拶 些細な会話が原点
第6回目 将来が心配な世帯増加 生保商品の必要性さらに高まる
第7回目 代理店の持つ人脈活用に期待 これまで以上のネットワーク構築が必要
第8回目 顧客情報を自社システムで一元管理 対応履歴こそが最大の財産 細かなやり取りを
第9回目 顧客情報の蓄積、データ化が命運握る 他業種との提携強化で収入源が変化
第10回目 5月には改正個人情報保護法が全面施行 机の上に個人情報記載の書類が・・・
第11回目 志を持つ地域の若手経営者とコラボ企画 新生活がスタートする今が好機
第12回目 地域情報サイトを運営 地域の人や事業者と共に成長する仕組作り
第13回目 人が来たくなるコンテンツは何か?
第14回目 他業種との積極的交流を 地域の中小企業経営者を獲得する
第15回目 保険でお客様の金銭的問題を解決する お金の大切さについて周知しよう
第16回目 顧客数増やす地道な努力 21世紀は分かち合う時代 『対面』の価値をいかに提供するか
第17回目 電子データの活用で広がる顧客からの感謝の幅 情報は代理店にとりかけがえのない「財産」 くれぐれも宝の持ち腐れにせぬように
第18回目 新たな収益源の確保を 自治体との“連携”をキーワードに
第19回目 保険とゴルフの相関関係 よろず屋でありコンサルタント 環境悪化しても必ず活路はある
第20回目 人こそが最大の商材 保険営業マンは頼られる「職人」
第21回目 代理店における採用活動を考える 自由度の高い保険ビジネスの魅力
第22回目 この十数年で業界、社会環境激変 今の業務フローに常に疑問持ち続け
第23回目 AIに取って代わられるのか? 保険の素晴らしさを再認識 保険の仕事は商品よりも人 人と人とが信頼しつながることで成り立つ
第24回目 近隣のハザードマップを用意していますか 顧客、知友人にもぜひともご案内を
第25回目 ビジネスに繋がる人間関係の構築を推奨 地域の団体やコミュニティに所属することは地域貢献
第26回目 さまざまな2018年問題 加速する子どもの減少 地域貢献としてセミナー、催しを積極開催
第27回目 自主的にコンプライアンス順守を徹底することが自らを守る 保険会社から親離れする時に 自ら考え行動することが急務
第28回目 強いチームは皆、同じ方向に向けて進んでいる 組織として機能し続けることが不可欠 強い組織には『イズム』がある
第29回目 災害救助法について把握しておこう 緊急時の顧客への対応体制を構築する 各地で相次ぐ大規模天災 代理店としてどう対応すべきか
第30回目 相次ぐ天災、保険の大切さを痛感 こんな時こそ代理店が「ヒーロー」に
第31回目 異常な天災相次ぐ1年 代理店にとっても多忙な年に 代理店自らの「万一」を考える必要も 組織化で本当の安心感を提供
第32回目 顧客が困ったときに思いだしてもらえるか 相談に乗れる存在になる 情報が保険販売に変わり収益に
第33回目 地方の目立つ自動車保険依存の収益構造 自動運転のニュースには敏感 生保代理店・損保代理店で情報交換の場を設定 代理店間で情報量に圧倒的な差
第34回目 「人」にかわり、「スマホ」や「仕組み」が保険契約を取る時代に 吸収する代理店、される代理店 お客様が喜ばれることは何なのか?
第35回目 「お客さまの声」、前向きに捉え 企業の成長、信頼を高める 苦情管理、適切に行われていますか PDCAサイクルを構築・確認する
最終回 各地で進む人口減少 あらゆる地域で加速化見せる 体制整備、未来への種まきは進んだか? 新たなリスク出現にビジネスチャンスも